神男女狂鬼(しんなんにょきょうき)
LED照明演出により5種類の能のハイライトを上演する能公演。
能は江戸時代、1日かけて五種類の演目が上演されていて、神・男・女・狂・鬼と演じる順番が決まっていました。
照明デザイナー藤本隆行氏演出による、日の出から日没にかけての光の移ろいの中、「高砂」「清経」「井筒」「巻絹」「土蜘蛛」の五番立ての能をダイジェストをご覧いただきます。出演:山本章弘ほか。
「高砂」
秀吉も演じたとされ、大阪が舞台となってる能。
神が現れ、世を祝福するめでたい能の代表。
昔から日本では結婚式や棟上げ式などおめでたい時に演じられてきた。
松のめでたさは和歌が盛んになることにつながり、和歌が栄えることは日本が平和であることを表わす。
春の夕暮れの長閑さの中で、映える丸の緑の描写も、平和な世の永続を意識させる。
和歌の徳と、平和と、長寿と、かわらぬ夫婦愛を語る前段と、早速と若い神の舞う後段にわかれる。
「清経」
世阿弥が、出家する以前の自信作のひとつで、現代でも修羅能の代表的な一曲。
筑紫の戦に破れ絶望し入水した清経の遺髪を、妻は嘆き悲しみつき返す。
すると妻の夢の中に清経が現れ、滅びて行く平家一門の運命や入水した際の様子を物語り、死後に落ちた修羅道の戦いの様子を見せるが、最期に唱えた念仏により成仏するのであった。
「井筒」
井筒の女のつつましい恋物語を素材とし、世阿弥が志向した「幽玄の美学」がもっとも純度高く結晶した能。
題材は「伊勢物語」17・23段であるが、その段の主人公を在原業平、女を紀有常の娘とみなす中世の「伊勢物語」の解釈に基づいて作られている。
紀有常娘の業平への「思い」、詩的に純化された「思慕」と「懐旧」を、流麗な文章と、巧妙な節付けで、全曲を通じて秋の夜の寂莫たる古寺の情緒と、清純な恋慕の澄み切った静けさが描かれている。
「巻絹」
紀州の山中にある熊野本宮を舞台とし、清々しい自然に囲まれた聖域で演じられる神秘的な物語。
大切な巻絹を届けることは二の次で、和歌を詠み、神に捧げることを優先した都の使者の心がけは神に愛でられ、世の中の決まりごとに縛られる勅使は、都の使者を縛り上げたことを神にやんわりといさめられ、決まりごとや思い込みだけではない、和歌を詠める心のあり様の素晴らしさに気づかされる。
「土蜘蛛」
病床の頼光を襲う怪しい僧。
頼光は手元にあった名刀で一命を取りとめる。
護衛の家来が残された血の跡を追って山中に入ると塚があり、土蜘蛛が現れ、千筋の蜘蛛の糸を投げかけ襲ってくる。
土蜘蛛とは、大和朝廷に服属しない未開の土着民の意で、「記紀」や「風土記」での蔑称。
この古代史的題材と、中世の頼光武勇伝説「平家物語剣の巻」とが結びついた能の中でも最もダイナミックでスペクタルな人気曲。
2023年02月05日(日):
日時 | |
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料金 | 一般前売5000円 一般当日6000円 |
主催 |
山本能楽堂 06-6943-9454 |