新作能「ファウスト」



 この度、ヨーロッパ三大演劇祭の1つのシビウ国際演劇祭30周年記念として、同演劇祭の看板演目で世界的演出家シルヴィウ・プルカレーテが手がけた「ファウスト」に着想を得て 新作能「ファウスト」を制作し、初演させて頂くことになりました。

 山本能楽堂は、演劇祭の総監督を務めるコンスタンチン・キリアックの招きで、2016年に日本の能楽として初めて参加し、以来、毎年演劇祭に訪れ、「安達原」「羽衣」「鉄輪」など代表的な能の演目を披露して参りました。公演を見たキリアック氏からは「能ほど世界で崇高な芸能はない」と高い評価を頂くなど、大喝采を受け、能の魅力をシビウに集まる世界中の人々に伝えてきました。コロナ禍においてもオンライン配信で参加し、昨年6月、渡欧の再開と同時に参加し、演劇祭のオープニングで「田村」を上演し、その様子が国営放送の特集番組としてルーマニア全土で放映されるなど、大きな反響を頂いております。

 シビウ国際演劇祭は、毎年10日間の会期中に70カ国以上の国々から約350の団体が集まり、毎日50以上の公演が開催され、世界から70万人以上の観光客が訪れる、ヨーロッパ最大規模を誇る演劇祭です。

 今回、30周年という大きな節目に、世界中の人々が知っているゲーテの「ファウスト」を、650年の歴史を持つ日本の能楽の伝統的な形式で上演することで、観客が能の世界に入りやすく、能楽という舞台芸術が持つ普遍的な魅力を、国や宗教、言語を超えて世界の人々と共有することができるのではないかと考えております。そして、世界情勢が不安定な中、能楽に内在する「平和への願い」を世界の人々に伝え、今回の公演が、微力ながら世界平和への一助となればと願っております。  



*今回の海外公演は、大阪市、日本万国博覧会記念基金、双日国際交流財団の助成金を頂いて実施させて頂きます。

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